月別アーカイブ: 2025年6月

富商のよもやま話~2~

皆さんこんにちは!

株式会社富商、更新担当の中西です。

 

さて今回は

~法律~

ということで、アスベスト除去工事に関わる主な法律・制度・義務・罰則などを包括的に解説していきます。

 

「健康被害ゼロ」を目指すための法的フレームワーク

かつて「奇跡の鉱物」と呼ばれ、建材として多く使われていたアスベスト(石綿)
その後、深刻な健康被害が明らかになり、日本では段階的に使用が禁止され、現在は除去・管理の対象となっています。

しかし、アスベストを含む建物は今なお全国に多数存在し、除去工事にあたっては法令遵守が絶対条件となっています。


✅ アスベストとは?なぜ規制されているのか

アスベストは天然の繊維状鉱物で、耐熱性・耐摩耗性・絶縁性が高いため、建材や工業製品に幅広く使われてきました。

しかし…

  • 長期間吸い込むことで、肺がん・中皮腫・石綿肺などの重篤な疾患を引き起こす

  • 症状が出るまで20~40年という長い潜伏期間がある

このため、2006年には全面的に製造・使用・輸入が禁止されました。


✅ アスベスト除去工事に関わる主な法律

アスベストに関する規制は複数の法令にまたがっており、主に以下の3本柱があります。

① 【労働安全衛生法】(厚生労働省管轄)

労働者の健康を守ることを目的とした法で、除去工事を行う事業者が最も関係する法律です。

主な義務内容

  • アスベスト含有建材を扱う作業の事前調査義務(書面+現地調査)

  • 作業計画の届出義務(作業開始14日前までに所轄労働基準監督署へ)

  • 隔離・負圧措置・湿潤化などの作業環境管理

  • 作業員への特別教育・防護具の着用

  • 作業後の飛散防止措置と周辺環境の清掃

② 【大気汚染防止法】(環境省管轄)

住民や周辺環境へのアスベスト飛散を防止することを目的としています。

主な義務内容

  • 特定建築材料(吹付け材など)の事前届出義務(都道府県へ)

  • 工事前の掲示・説明義務(近隣住民への情報提供)

  • 飛散防止対策・作業管理・完了報告書の提出

  • 飛散が確認された場合の緊急通報・指導命令の対象に

📌 令和3年(2021年)の改正により、建物の解体・改修すべてで事前調査結果の報告が義務化されました。

③ 【建築物石綿含有建材調査者講習規程】

2023年10月より、事前調査は「有資格者」の実施が義務となりました。

  • 対象:延べ面積80㎡以上の解体・改修工事

  • 対象者:建築物石綿含有建材調査者、石綿作業主任者などの資格保持者

  • 書面調査と現地確認の両方を必ず実施し、報告を電子システムで登録


✅ その他の関連法規

法律名 内容
建築基準法 アスベスト含有建材の新設禁止
廃棄物処理法 除去したアスベストを特別管理産業廃棄物として適正に処理
労働安全衛生規則・石綿則 作業基準・健康診断・ばく露防止策などを細かく規定
化学物質排出把握管理促進法(PRTR) 一部の事業では、石綿排出の報告義務あり

✅ 違反した場合の罰則

アスベスト除去に関する法律違反には、罰則規定も厳しく設定されています。

違反内容 罰則例
無届施工 6か月以下の懲役または50万円以下の罰金(安衛法)
不適切な作業(飛散防止策未実施など) 作業停止命令、行政指導、悪質な場合は刑事告発
有資格者による事前調査を怠った 行政処分、報告義務違反による指導

📌 発注者(建物所有者)も管理責任を問われるため、業者任せでは済まされません。


✅ 法改正とアスベスト規制強化の流れ(近年)

年度 内容
2006年 アスベストの使用・製造・輸入を原則禁止
2014年 大気汚染防止法に基づくアスベスト対策を強化
2021年 全ての解体・改修工事に「事前調査結果の報告義務」追加
2023年 アスベスト事前調査の有資格者制度が施行(2023年10月〜)

このように、規制は年々強化されており、2025年以降はさらに厳格な管理体制が求められる可能性もあります。


✅ 法令遵守のために必要な体制と対応

企業・業者側

  • 有資格者の育成(調査者・主任者・技能講習受講者)

  • 安全衛生管理体制の整備とマニュアル作成

  • 作業記録・写真・測定値などの証拠保全体制の構築

建物所有者・発注者側

  • アスベスト含有建材の保有建物リスト化

  • 解体・改修工事前に調査と届出が必要なことを理解しておく

  • 信頼できる認定業者の選定と契約前のチェック


✅ 「知らなかった」では済まされない時代に

アスベスト除去工事は、建物や作業者だけでなく、周辺住民や未来の健康にも影響を与える重要な工事です。

法令は、

  • 労働者の命を守るため

  • 地域の安全を守るため

  • 再発を防ぐため

に、年々厳格化されています。

法を正しく理解し、適切な施工体制を整えることが、社会的責任と信頼を守る第一歩となるのです。

 

 

 

富商のよもやま話~1~

皆さんこんにちは!

株式会社富商、更新担当の中西です。

 

 

さて

今回は、騒音

ということで、解体工事現場での実践的な騒音対策とその特徴を詳しく解説します。

 

解体工事は、住宅地や都市部などの生活空間と隣接して行われるケースが多く、騒音問題は最も多く寄せられる苦情のひとつです。法的な規制だけでなく、住民感情や作業効率の観点からも、騒音対策は極めて重要なテーマです。


騒音の主な発生源

解体工事における騒音の多くは、以下の作業から発生します:

  • 重機による構造物の破砕

  • ハツリ作業や鉄骨切断

  • 運搬用トラックのエンジン音や積載音

  • コンクリート・アスファルトの破砕

これらは100dBを超えることもあり、騒音規制法や地方自治体の条例に基づいた管理が必要です。


騒音対策の具体例

1. 防音パネル・防音シートの設置

  • 騒音発生源を囲うように設置

  • 防音性の高い「吸音材」入りのシートを使用

  • 高さ2m以上で、すき間をなくすことがポイント

2. 低騒音型機械の使用

  • 破砕機・カッターなどを「低騒音仕様」に変更

  • 「国交省認定の低騒音機種」を選定することで信頼性向上

3. 施工時間帯の配慮

  • 通勤・通学時間帯や早朝・深夜を避けた作業時間設定

  • 「午前8時〜午後6時」の範囲内が一般的

4. 散水・防塵と併用

  • 騒音だけでなく粉じんもセットで抑える

  • 散水で作業中の振動音も多少軽減可能


近隣住民への配慮と対応

1. 事前の説明・あいさつ

  • 工事開始前に「概要説明書」と「粗品(耳栓など)」の配布

  • 作業内容・期間・作業時間帯を丁寧に伝える

2. クレーム窓口の明確化

  • 現場責任者の連絡先掲示

  • 苦情には24時間以内の対応を基本とする

3. 作業中のマナー教育

  • 作業員への「声出し・工具音」の指導

  • 朝礼などで周辺住民の意識づけを共有


騒音トラブルを防ぐ管理体制

  • デシベル計測器での騒音監視

  • 日報・巡回記録での証跡管理

  • 自治体への作業届出と報告書作成

これらを適切に行うことで、万が一のクレーム対応にも信頼性のある対応が可能になります。


解体工事における騒音対策は、「法令遵守」だけでなく「信頼維持」と「安全な作業環境づくり」にも直結します。防音資材の活用、施工方法の工夫、そして何より「周囲への思いやり」が、スムーズでトラブルの少ない現場運営につながります。

ブログ更新をはじめました。

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今後ともよろしくお願いいたします。