皆さんこんにちは！
株式会社富商、更新担当の中西です。
さて今回は
～法律～
ということで、アスベスト除去工事に関わる主な法律・制度・義務・罰則などを包括的に解説していきます。
「健康被害ゼロ」を目指すための法的フレームワーク
かつて「奇跡の鉱物」と呼ばれ、建材として多く使われていたアスベスト（石綿）。
その後、深刻な健康被害が明らかになり、日本では段階的に使用が禁止され、現在は除去・管理の対象となっています。
しかし、アスベストを含む建物は今なお全国に多数存在し、除去工事にあたっては法令遵守が絶対条件となっています。
✅ アスベストとは？なぜ規制されているのか
アスベストは天然の繊維状鉱物で、耐熱性・耐摩耗性・絶縁性が高いため、建材や工業製品に幅広く使われてきました。
しかし…
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長期間吸い込むことで、肺がん・中皮腫・石綿肺などの重篤な疾患を引き起こす
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症状が出るまで20～40年という長い潜伏期間がある
このため、2006年には全面的に製造・使用・輸入が禁止されました。
✅ アスベスト除去工事に関わる主な法律
アスベストに関する規制は複数の法令にまたがっており、主に以下の3本柱があります。
① 【労働安全衛生法】（厚生労働省管轄）
労働者の健康を守ることを目的とした法で、除去工事を行う事業者が最も関係する法律です。
主な義務内容
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アスベスト含有建材を扱う作業の事前調査義務（書面＋現地調査）
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作業計画の届出義務（作業開始14日前までに所轄労働基準監督署へ）
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隔離・負圧措置・湿潤化などの作業環境管理
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作業員への特別教育・防護具の着用
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作業後の飛散防止措置と周辺環境の清掃
② 【大気汚染防止法】（環境省管轄）
住民や周辺環境へのアスベスト飛散を防止することを目的としています。
主な義務内容
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特定建築材料（吹付け材など）の事前届出義務（都道府県へ）
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工事前の掲示・説明義務（近隣住民への情報提供）
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飛散防止対策・作業管理・完了報告書の提出
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飛散が確認された場合の緊急通報・指導命令の対象に
📌 令和3年（2021年）の改正により、建物の解体・改修すべてで事前調査結果の報告が義務化されました。
③ 【建築物石綿含有建材調査者講習規程】
2023年10月より、事前調査は「有資格者」の実施が義務となりました。
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対象：延べ面積80㎡以上の解体・改修工事
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対象者：建築物石綿含有建材調査者、石綿作業主任者などの資格保持者
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書面調査と現地確認の両方を必ず実施し、報告を電子システムで登録
✅ その他の関連法規
| 法律名 | 内容 |
|---|---|
| 建築基準法 | アスベスト含有建材の新設禁止 |
| 廃棄物処理法 | 除去したアスベストを特別管理産業廃棄物として適正に処理 |
| 労働安全衛生規則・石綿則 | 作業基準・健康診断・ばく露防止策などを細かく規定 |
| 化学物質排出把握管理促進法（PRTR） | 一部の事業では、石綿排出の報告義務あり |
✅ 違反した場合の罰則
アスベスト除去に関する法律違反には、罰則規定も厳しく設定されています。
| 違反内容 | 罰則例 |
|---|---|
| 無届施工 | 6か月以下の懲役または50万円以下の罰金（安衛法） |
| 不適切な作業（飛散防止策未実施など） | 作業停止命令、行政指導、悪質な場合は刑事告発 |
| 有資格者による事前調査を怠った | 行政処分、報告義務違反による指導 |
📌 発注者（建物所有者）も管理責任を問われるため、業者任せでは済まされません。
✅ 法改正とアスベスト規制強化の流れ（近年）
| 年度 | 内容 |
|---|---|
| 2006年 | アスベストの使用・製造・輸入を原則禁止 |
| 2014年 | 大気汚染防止法に基づくアスベスト対策を強化 |
| 2021年 | 全ての解体・改修工事に「事前調査結果の報告義務」追加 |
| 2023年 | アスベスト事前調査の有資格者制度が施行（2023年10月〜） |
このように、規制は年々強化されており、2025年以降はさらに厳格な管理体制が求められる可能性もあります。
✅ 法令遵守のために必要な体制と対応
企業・業者側
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有資格者の育成（調査者・主任者・技能講習受講者）
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安全衛生管理体制の整備とマニュアル作成
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作業記録・写真・測定値などの証拠保全体制の構築
建物所有者・発注者側
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アスベスト含有建材の保有建物リスト化
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解体・改修工事前に調査と届出が必要なことを理解しておく
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信頼できる認定業者の選定と契約前のチェック
✅ 「知らなかった」では済まされない時代に
アスベスト除去工事は、建物や作業者だけでなく、周辺住民や未来の健康にも影響を与える重要な工事です。
法令は、
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労働者の命を守るため
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地域の安全を守るため
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再発を防ぐため
に、年々厳格化されています。
法を正しく理解し、適切な施工体制を整えることが、社会的責任と信頼を守る第一歩となるのです。
